真備の笑顔のために

まちづくり推進協議会に聞く服部地区の様子Vol.2 〜一人も残さず避難。支え合いが安心に繋がるまちづくりを〜

2023年2月10日

服部 活動報告

平成30年7月豪雨災害から4年半が経ちました。真備のなかでも服部地区は約7割が被災し、浸水被害も多くありました。

 

「避難するのが難しい人は『頼むぞ』『迎えに来てくれよ』と言っていただければいい。それくらい気心知れた仲になれば、逃げ遅れはなくなる」

 

そう話すのは、服部地区まちづくり推進協議会(以下、まち協)会長の中尾研一(なかお けんいち)さん。

 

災害当日は、中尾さんの声掛けのおかげで命拾いした方が何人もいらっしゃり、一人ひとりと築いてきた繋がりが垣間見えました。これまで行ってきたまちづくりについて聞きながら、災害を経て変化したこと、新たに取り組んでいることなども併せて聞きました。

 

地域の高齢者を守る地域づくり

服部地区

 

―災害発生時の様子を伺うと、まち協を中心に活動してきた今までの成果が出ているように思います。まちづくりの方針は以前から変わらないのでしょうか。

 

中尾:
まち協はコミュニティづくりがメインの活動でした。高齢者支援センターからの声掛けがあってからは「地域の高齢者支援」が住みよい地域に繋がると思って活動しています。

 

そもそも、昭和53年~54年に真備の各地区で「コミュニティ協議会」が設立されました。地域の高齢者支援やコミュニティづくりはその頃から行っています。服部は、地区の中で小学校の学区が分かれているのですが、小さい地域だからとまとまって助け合っていく文化を先輩方が築いてくださいました。

 

コミュニティ協議会とは別に「高齢者福祉の村づくり」などもあったものの、合体してまち協に。今の体制になって10数年経っています。

 

避難して空振りだったら、喜べばいい

服部地区

 

―災害前後で、コミュニティづくりに変化はありますか?

 

中尾:
災害前は、自分の町内の高齢者は自分たちで守ろうと活動してきました。「見守り活動」もその一環です。

 

災害時の体制づくりはできていなかったけど、「災害時にどうしたいか」を調査するアンケートは行っていました。「災害時、困っているときに助けてもらいたいですか」「周りを助けることはできますか」などの意識調査です。実は回答が8割以上もあって、すごく関心が高いことがわかりました。

 

要援助者の3名も含めて私の町内が無事に避難できたのは、アンケートのおかげだと思います。緊急連絡先を書いてもらっていたんで、親戚の方含めて声を掛けやすかったです。

 

災害後は、一人ひとりの危機意識が命を救うんだと痛切に感じました。これが課題にもなると思いましたね。あとは隣近所で声をかけ合う。声をかけられたら、素直に受け入れる。これが大事です。「迷惑をかけるから家におるわ」と言ってもし亡くなったら、そのときこそ迷惑をかけるよ、と。避難して空振りだったら、喜べばいいじゃないですか。

 

避難するのが難しい人は「頼むぞ」「迎えに来てくれよ」と言っていただければいいんです。そのくらい気心知れた仲になれば、逃げ遅れはなくなると思います。「頼むぞ」と言えるような、日頃のコミュニティづくりが大事ですね。

 

届け出避難所の申請や防災計画など、できることから

服部地区

 

―災害後、まち協として新たに取り組んでいることはありますか?

 

中尾:
まず、服部のなかの小さな地区に自主防災会をつくりました。でも私がつくったわけではなくて、災害時に支援物資を持ってきてくれた人が動いてくれて、防災会までつくってくれたんです。

 

その流れで、各地区の届け出避難所を申請してきました。少し高台にある寺院とか神社とかですね。指定避難所ももちろんつくりたいので市に相談しているんですが、すぐにできるわけではないですからね。できるところから、今ある場所で避難できるところを設定しようとしています。

 

あとは地区防災計画をつくっている最中です。倉敷市の防災危機管理室が、つくるのを手伝ってくれるんですよ。地区の特性や盛り込みたい内容を箇条書きにして、倉敷市にお伝えしました。完成したら、他のつくっていない地区にも「市に頼んでみたら?」と言えると思うんです。まずは私の地区で、進めていこうと思います。

 

これからも、安心して住めるまちづくりを

中尾研一(なかお けんいち)さん

 

―最後に服部に住む方や、やむを得ず離れて暮らしている方へメッセージをお願いします。

 

中尾:
昔から服部は、何かをやろうとするたびにみんな協力してくれます。よくまとまっていてありがたいです。これからもいいコミュニティをつくって、高齢になっても服部なら安心して住めると思ってもらえるような地域にしたいと思います。

 

そのためにも、平成30年7月豪雨災害の経験を忘れないようにしないといけません。地域でお互いを支えあって、一人も逃げ遅れを出さないという気持ちで、力を合わせてやっていきたいと思います。

 

服部を離れた方もいますが、ぜひそれぞれの地でがんばっていただきたいです。ときどきは服部を思い出して、遊びに来ていただけたら嬉しく思います。戻ってきてくれる方がいたら大歓迎です!でも服部を忘れずにいてくれたら、大変ありがたいなと思っています。