介護者が抱える問題

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高齢社会で生じる社会的な課題

国民の2.6人に1人が高齢者となる社会に

近年、日本は急速な高齢化が進んでいます。国の統計によると、介護保険制度が始まった2000年の高齢者数は2,204万人で高齢化率は17.4%でした。しかし、2023年には高齢者数3,623万人、高齢化率29.1%となり、高齢者数は1.6倍にもなっています。そして、高齢化率がピークになる2070年には38.7%に達し、国民の約2.6人に1人が65歳以上となる社会が到来すると推計されています。

 

出典:令和6年版高齢社会白書 高齢化の推移と将来推計

 

倉敷市においても同様に着実に高齢化が進展しており、2000年の高齢者数は約74,200人、高齢化率は16.4%でしたが、2023年には高齢者数約132,700人、高齢化率27.9%となり、高齢者数は1.8倍にもなっています。今後は、いわゆる「団塊ジュニア世代」が65歳以上となる2040年には、総人口や現役世代人口が減少する中、高齢者人口がピークを迎え、高齢者数は144,237人、高齢化率32.5%に達すると推計されています。

また、医療や介護サービスを必要とする割合が高くなる85歳以上の高齢者が急速に増加することが予測されます。

さらに、認知症高齢者の増加や高齢者の単身世帯の増加も見込まれ、加えて、全国的には介護人材の不足も指摘されています。

 

出典:倉敷市「第9期 倉敷市高齢者保健福祉計画及び倉敷市介護保険事業計画」(令和6年3月)

 

介護保険料はこの20年で1.9倍に

高齢化が進む中で、多くの人が介護保険制度を利用していますが、介護保険料は2000年の3,366円から2021年の6,250円と約1.9倍に上昇しています。

 

出典:倉敷市「第9期 倉敷市高齢者保健福祉計画及び倉敷市介護保険事業計画」(令和6年3月)

 

高齢社会における社会的課題

高齢社会の進展に伴い、医療や介護、生活支援を必要とする方が増えています。こうした変化は、社会保障制度や地域のあり方にも影響を与えており、社会全体で受け止めるべき課題となっています。

医療・介護ニーズの増加

高齢者は一般的に健康問題に直面しやすく、慢性疾患や身体機能の低下などの発生率が高まります。これにより医療や介護サービスの需要が急増し、医療・介護資源の不足が心配されます。

認知症高齢者の増加

認知症は加齢とともに発症率が上昇する病気であり、今後認知症高齢者が増加することが予想されます。認知症に対する理解や対応方法を知らないことによって、地域から孤立したり家族の介護負担が大きくなることが心配されます。

年金・社会保障の負担増

高齢者の増加に伴い、年金や社会保障制度の需要が増え、財政負担が増加します。現役世代の労働力が減少する中で、年金制度や社会保障が持続可能性や給付の減少が心配されます。

地域社会の変化

人口構成や暮らし方の変化により、地域の構造や人と人とのつながりが変化しています。若者の減少や生活圏の変化による地域活動や経済への影響、孤独や孤立が課題となっているため、つながりと支え合いを維持していくことが地域全体で求められており、地域のつながりの弱まりが心配されます。

 

65歳以上の5.4人に1人が認知症患者に

高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加していきます。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人、2025年には約675万人(発症率18.5%)と5.4人に1人程度が認知症になると予測されています。

倉敷市では、2023年3月末で認知症と判定された高齢者(認知症自立度Ⅱ以上の人)は25,198人で、2040年には約28,000人になると推計されています。特に85歳以上の認知症の出現率は急激に上昇し、42.9%となっています。

今後、認知症高齢者がますます増加するなかで、多くの市民が認知症に対する正しい知識を持ち、認知症になっても必要なサービスを受けながら、住み慣れた地域で暮らし続けられるまちづくりが必要です。

 

出典:倉敷市「第9期 倉敷市高齢者保健福祉計画及び倉敷市介護保険事業計画」(令和6年3月)

 

見えづらい介護者の負担や不安

高齢者が増加するに伴い、介護を必要とする家族を支える介護者も増加しています。総務省統計局の社会生活基本調査(2023年)によると、介護をしている15歳以上の人口は653.4万人となっており、今後も増えていくことが予想されます。

家族の介護が始まると、仕事や日常生活に加えて介護が上乗せされ、身体的・精神的な負担や今後の不安、疲れを感じる人は少なくありません。また、経済的な負担ものしかかってきます。しかし、介護者の抱える負担や不安はなかなか見えづらいのが現状です。

介護者の負担には次のようなものがあります。

介護者に関する主な課題

経済的負担
心理的負担
身体的負担

経済的負担

医療費や介護保険の自己負担金、介護用品や介護食品などの費用が発生します。また、介護のために仕事を辞めたり、勤務時間を減らしたりすることで収入が減少することもあります。介護期間が長くなれば、その負担はますます大きくなり、家族全体の生活にも影響が出てきます。

 

<厚生労働省「雇用動向調査」/2023年>

 

<厚生労働省「雇用動向調査」/2005-2024年>データから引用

心理的負担

家族の健康や障がいに関する不安に加え、介護の方法や利用できるサービスがわからない、この状況がいつまで続くのかなど、多くのストレスや不安を抱えます。また、介護に時間を取られ、人と会う機会が減ることで悩みを1人で抱え込んでしまい、介護者がうつ病等を発症してしまうケースもあります。

 

  1. [事例]

    道夫さん(仮名)は、91歳になる母親と二人で暮らしています。母は高齢ながらも日常生活は自立しており、要支援認定を受けてはいるものの、身の回りのことは自分でこなしていました。しかし、道夫さんは仕事の都合で県外への出張が多く、家を空けることが増えてしまいました。

    母は「人に迷惑をかけたくない」という強い思いを持っており、介護サービスの利用には消極的でした。電話での連絡も、耳が遠くなってきたためにうまく会話ができず、道夫さんは離れた場所から母の様子を確認することが難しく、心配は尽きませんでした。

    そんな折、地域で提供されている「たすけあいサービス」の中に、話し相手として定期的に訪問してくれる支援があることを知りました。道夫さんは、母の気持ちを尊重しながらも、少しでも安心できる環境を整えたいという思いから、このサービスの利用を提案しました。最初は戸惑っていた母も、訪問者との会話を重ねるうちに、次第に心を開いていきました。昔話や日々の出来事を語り合う時間が、母にとっての楽しみとなり、自然と笑顔が増えていきました。道夫さんも、母が安心して過ごしている様子を知ることで、心の負担が軽くなり、仕事にも集中できるようになりました。

    倉敷たすけあいサービス

身体的負担

食事介助、入浴介助、移動時の介助、体位変換など、介護者には様々な身体的な負担がかかり、介護度が高くなるにつれ、その負担は大きくなります。また、夜間のおむつ交換やトイレ介助などによって、充分な睡眠がとれず、疲れがたまってしまう介護者も多いのです。

 

介護を取り巻く課題

被介護者のフレイル進行
認知症に対する理解不足
相談先がない・相談する人がいない

被介護者のフレイル進行

フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間の段階を指します。
フレイルが進行すると、転倒や入院、要介護状態への移行につながりやすくなり、介護者の身体的・精神的・経済的負担は一気に大きくなります。
一方で、フレイルは 「予防と早期対応によって健康な状態に戻る可能性がある」可逆的な状態でもあります。
栄養・運動・社会参加の3つの柱を意識した取り組みを続けることで、被介護者本人の生活の質が保たれるだけでなく、結果として介護者の負担軽減にもつながります。

認知症に対する理解不足

認知症とは、加齢や病気などが原因で脳の働きが低下し、記憶・判断・理解などの認知機能に障害が起きることで、日常生活や社会生活に支障が出る状態です。
認知症は高齢者だけでなく、65歳未満の「若年性認知症」など、誰にでも起こりうる病気です。
認知症への理解が不足していると、本人の尊厳が損なわれるだけでなく、介護する人の負担も大きくなってしまいます。

相談先が分からない・相談する人がいない

介護の悩みや不安があっても、どこに相談すればいいか分からず、制度や支援に繋がらない人が多くいます。地域に窓口があっても、情報が届かず存在を知らないまま、孤立するケースも少なくありません。また、家族や周囲に打ち明けにくく一人で抱え込み、心身の負担を増大させることもあります。

 

健康で自立した生活を送るためには

介護予防・健康づくりの取り組みの推進
地域の支え合い活動の推進

介護予防・健康づくりの取り組みの推進

R6年度東京都介護予防フレイル予防推進センターの調査によると、現在サロンに通っている人の8割は自分が元気だと思っているが、実はほとんどの人がフレイル予備軍であるという結果が出ています。
つまり、通っているから元気を保つことができているけれど、通わなくなるとADLの低下は免れないということが読み取れます。
介護予防の取り組みは、高齢者が健康で自立した生活を送り、介護が必要な状態を遅らせるために重要な取り組みです。高齢者ができる限り健康でアクティブな生活を送ることにより、病気や障がいを未然に防ぎ、生活の質を向上させることができます。

地域の支え合い活動の推進

地域の支え合いの形はさまざまです。支える側、支えられる側という一方通行ではなく、ときには支援を受けながらも、自分の得意なことで周りを元気にする人もいます。私たちは、そんな「お互い様」の支え合い活動を推進しています。

 

倉敷市ではこれまで、介護が必要となっても住み慣れた地域で暮らし続けられるように、「医療」「介護」「予防」「住まい」「生活支援」が包括的に提供される「地域包括ケアシステム」の推進を図ってきました。

団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年に向けて、中長期的な視点に立って取り組みを進めることによって、高齢者が安心して住み続けられる地域づくりのために、社会福祉協議会では次の活動に取り組みます。

 

介護者が「一人で抱え込まない」社会を実現するために

「介護者が抱える問題」の解決に向けた取り組み

家族に介護が必要になった時、友人、知人との交流が減り生活が不活発になる

・介護者の会の支援
・認知症カフェ・ピアサポートの紹介
・地域の集いの場の紹介(調査・情報紙の発行)
・老人福祉センターの運営

何かあった時に相談する相手がいない

・介護者の会の支援
・高齢者支援センター事業(船穂)
・介護に関する相談受付

要介護認定者が増加している

・身近な地区の通いの場の紹介
・サロン交流会の開催
・サロンで使う器具の貸出
・いきいきポイント制度

経済的負担が大きい

・車いす・福祉車両の貸出し事業
・各種制度の紹介

介護と仕事との両立が難しい

・住民参加型在宅支援サービス事業(たすけあいサービス/家事援助・話し相手等)
・ホームヘルパー派遣事業
・デイサービス事業
・各種インフォーマルサービスの紹介
・要配慮者個別避難計画作成事業等

介護で負担やストレスを感じる

・介護者の会の支援
・介護技術講座の開催

地域の課題解決のために、ご協力をお願いします。

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